未来に続く希望の道
CONTAX TVS DIGITAL モノクロJPEG撮影
ここは前回のエントリ記事(津波被害に抗えなかった木)の場所から500mくらい離れたところにある、海岸沿いの堤防の上から撮った写真だ。
この堤防は東日本大震災の津波で破壊されたのだが、被災後『仙台湾南部海岸堤防復旧プロジェクト』という計画により急ピッチで復旧がなされ、今年の3月に完成したばかりだ。
そして自分は震災後初めてここに来た。
ここは自宅から3kmほどしか離れていないのだが、震災後は近寄りがたいというか、なぜか行きたくないという気持ちが強くて、近くて遠い場所になっていた。
しかし、前回のエントリ記事の写真を撮りにちょうど近くまで来たということもあり、初めてここに訪れてみる気になったのだった。
それで、この堤防の形を見て自分はちょっと驚いた。
一般的に海岸の堤防というと海側が壁のようになっていて、いかにも波を遮るような形をしていると思うが、この堤防は海側も陸側も同じようになだらかな坂になっていて、しかもその頂上にも壁がない。
そういう形の堤防は初めて見たため『こんな形で本当に堤防としての効果があるのか?』とかなり疑問に思ったのだが、後日、先のプロジェクトの紹介HPを見てみたら、この形が津波に対して粘り強い形なのだそうだ。
つまり、従来の壁型の堤防だとどんなに壁を強固にしたところで、結局は津波の威力の方が大きすぎて容易く決壊してしまう。そこであえて海側を壁にしないことで、津波の威力を逃がして堤防の決壊を防ぎつつ、津波の威力を弱める効果が期待できるらしい。これを読んでやっとこの形に意味があったのだと納得した。
それはさておき、ここに来た時はそんなことは知る由もなく堤防の効果のほどを疑問に思ったままではあったが、しかしやっと完成した堤防を目にしたとたん自分はとても安心感を感じた。なぜなら今までこの堤防が完成するまでは、津波から遮ってくれるものが何もなかったからだ。
そして写真のとおり、どこまでもまっすぐに続くこの堤防が、これからの未来に続く希望の道のようでとても心強く感じた。
もうあのような津波は二度と来て欲しくはないが、しかしいつ何時、再度来るともわからない。その時に備えてこの堤防が少しでも効果を発揮してくれることを願っている。