津波被害に抗えなかった木
CONTAX TVS DIGITAL モノクロJPEG撮影
ほとんど枯れかかってしまっている3本の木。ここは宮城県にある仙台空港そばの風景だ。
(写真中央奥に、波打っている黒い屋根が写っているのがわかるだろうか? ここが仙台空港だ)
ここには以前、沢山の民家があったのだが、2年半前の東日本大震災の津波でそれらは跡形もなく流されてしまった。そして現在災害危険区域に指定されているため、ここに民家が建つことはもうない。
そんな中この木だけが取り残されたが、津波被害はこの木の寿命をも確実に蝕み、前回のエントリ記事(逆境に負けない木)で紹介した木とは対照的に、既に枯れかけてしまっている。
しかしそれは仕方がないと思う。こちらの木は土壌ごと海水に浸かってしまったわけで、いくら植物の生命力はたくましいといっても、さすがにそれに耐えられるわけがないからだ。
自分にはその枯れてしまった無惨な姿が、まるで天に向かって最後の力を振り絞って救いの手を伸ばそうとしているかのように見え、ひどく心が痛んだ。
しかし、たとえこの木が枯れてしまったとしても、なんとかこのまま形だけは残っていてほしい。そして、この木が後世まで津波被害の大きさを伝えてくれる存在になってくれれば、と思う。