ゆうちょATMのちょっとした気配りに感心した話
今回のエントリ記事では「相手の立場に立って考える」ということについて語ってみる。
最近は、ATMなど暗証番号を入力する必要がある機械には、その機械の正面に小さい鏡が付いているものがあるよね。
それっていわゆるショルダーハックといわれる、肩越しに暗証番号を覗かれていないかを確認するためのものなんだけど、ゆうちょのATMの場合、それとは別にもう1カ所鏡が付いている。
その鏡が付いている場所というのは、お札や硬貨の投入口のすぐ上なんだけど、そこに鏡が付いていること自体、気づいていない人もいるかもしれない。
事実、自分は最近まで全然気づかなかった。
気づくきっかけとなったのは、ATMの前でたまたま床にお札を落としてしまって、それを拾った時。
拾ってから、何気なくATMを下から眺めた時に「あれ?こんなところに鏡が付いてる」って初めて気づいたんだよね。
最初、なんでこんなところに鏡がついているの?と思ったんだけど、ちょうど鏡越しにお札の投入口が見えたので、すぐにこの鏡の目的を理解することができた。
これって車椅子の人のためだったんだね。
車椅子に座ったままだと、投入口の中を覗き込むことできない。
だから、投入口の中にお札を入れるとき、あるいは出金時にお札が中に残ったままになっていないかどうかを確認するための鏡だったというわけ。
この鏡の角度は、車椅子の視線の高さに合わせてあるので、立った姿勢でその鏡を見ても角度的に投入口は見えない。
だから、今までこの鏡の存在に気づいてはいても、鏡がついている理由までは、気にしたことがなかった人もいるかもしれないね。
自分は、たまたまその視線の高さと同じ位置から見たから、この鏡の存在理由をすぐ理解することができた。
そして「これぞ本当に相手の立場に立って考えられたものだよな」と思って感心した。
車椅子対策としてすぐに思いつくことと言えば、通路の幅を通常より広く取ったり、段差をなくしてスロープにするとかなんだけど、そんなことは誰でもすぐに思いつくと思う。
だって、幅でも段差でも見た目にすぐ「これじゃ無理だよな」ってわかるからね。
ATMだって、見た目だけで判断すれば「お金の投入口や、通帳orカード差込口に手が届けばいいだろう」で終わっちゃうところだと思う。
でも、それだけじゃ”投入口の中を見る”ことまではできない。
そして、このことは実際にその場面で不便な思いをしたことがある人しかわからないことだと思うんだよ。
健常者だったらそこまで気づくことはできないだろう。
そう思ったからこそ、なおさらゆうちょATMの鏡の存在に感心した、というわけ。
相手の立場に立って考えることってすごく大事。でも本当に相手が望むものを考えることはすごく難しい。
自分がそういう立場になった経験があれば一番いいのだけど、それも全部は無理なのは明らか。
どうすれば自分がその経験がなくとも、相手が望むものを考えることができるか?
難しい問題だが、それができるようになってこそ、本当の意味で相手の立場に立った考えができたことになる。
このATMの鏡をみて「そういう考えが当たり前のようにできるようになれたらすばらしいな」と思い、その場を後にしたのだった。