津波に流されてしまった大切な思い出の場所
今日は、ちょっとした用事があって実家に行ってきた。
実家は、自分の家よりもさらに海沿いに近かったため、東日本大震災の津波被害は自分の家よりもひどく、1階の鴨居の上まで海水に浸かり、1階の家財道具は全部使い物にならなくなった。
でも、実家からほんのちょっと海沿いに行ったところは、家そのものが流され、なくなってしまっていたから、実家は建物が残っていただけましだったのかもしれない。
実家周辺はかろうじて非居住地域には指定されなかったため、自分の両親は実家を修繕し住みなおしたのだが、近所の人たちは元の場所には戻らない覚悟で、津波被害に何とか耐え残った自宅を取り壊し更地にしてしまった。
そのため、実家周辺にあった家は今やものすごく減ってしまい、まわりが空き地の中、実家だけがぽつんと建っているような状態になってしまっている。
自分がジャングル探検ごっこをした松林の森や、いつも友達と暗くなるまで遊んだ公園など、小さい頃の思い出がたくさん詰まっていた場所も、全て津波で流されなくなってしまった。
そんな何も残っていない風景になってしまってから、もう2年以上が経つというのに未だにその変貌振りには慣れない。
だが、自分から「慣れること」は絶対にしないだろう。
なぜなら建物や思い出の場所は津波に流され、なくなってしまったが、だからといって小さい頃の大切な思い出まで津波なぞに流されてたまるか、という想いがあるから。
そんな気分を晴らすためというわけでもないが、実家で母が育てている花の写真を撮ってきた。
以前の実家は母が丁寧に庭の手入れをしていたので、それはもう庭いっぱいに木々や花々が植えられていて、きれいな庭だった。
現在は建物こそ修繕は終わっているが、庭の再建にまでは至っていないため、花々はプランターにちょっとだけ植えてあるだけになっている。
いずれは以前のように・・・、いや、それ以上の庭に戻ってくれる日を、今から心待ちにしている。
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