たまには部屋をかたづけようよ

部屋を片付けせなあかんと思いつついつも放置プレイ。そんな自分の日々の想いをつづった日記系ブログですよ?

最近書いた記事

○○峠の走り屋(中編2)


オカルト】【カミカゼエース先輩シリーズ○○峠の走り屋(中編1)の続きです。


 そうして自分達は、その場で10分ほど待ってから再び走り出したが、その待っている間は1台の車とも出会うことはなかった。
 そして走り出して間もなく、またS先輩が叫んだ。

「おい! また後ろにライトを消したままの車がついてきてるぞ!」

 えっ!? と思い、後ろを振り向くと、あのフロントグリルのライトと車の形からして間違いない。さっきの黒のインプレッサだ。

「どうなってんだよ? どこで待ち伏せしてた? さっきから10分以上も経っているというのに、なんでまたすぐ後ろにいるんだよ?」とS先輩は半ばパニックになっていた。

 まずい。またお札が真っ赤になってる。
 そして峠のふもとまではまだ3キロ以上あり、しかもその途中には、走り屋が事故ったという急カーブもある。このままじゃ自分達がその二の舞になるかもしれない。

「S先輩、もうふもとに下りるのはやめて、さっきの駐車場に戻って、今夜は野宿しましょう」

「そうしたいところだが、できないんだよな……」

「えっ、どうしてですか?」

「オヤジが今日の朝早くから山に出かける用事があって、オヤジの車が壊れてるっつーんで、オレの車貸す約束しちゃってんだよ。もしそれ破るとオヤジすげーこえーから。マジオレ殺されっから絶対に朝までには帰らなきゃならん」

「ちょ、そんなこと言ってこっちが事故起こしたら元も子もないじゃないですか? んー、じゃ、とにかく後ろの車は無視してゆっくり行きましょう」

「ああ、そうする」

 そうしてスピードを落としたときだった。後ろのインプレッサが急にライトをつけてさらに煽ってきた。
 ヘッドライトをハイビームにして、それに加えてドライビングランプまでつけて、まともにこっちを照らしてくるもんだから、あまりにもまぶしすぎて後ろがまったく見えなかった。

「あのクソ野郎。こっちがスピード落としたんだから、さっきのようにとっとと追い越していけばいいものを、嫌がらせかよ。絶対わざとやってやがるな。もう相手が人間だろうが、霊だろうが構いやしねぇ。振り切ってやっぞ」

「だめですよ。S先輩。挑発に乗っちゃ! この先の道がどうなってるのかよく知らないじゃないですか。絶対やばいですって!」

「うるせー。だまってろ!」

 完全に頭に血が上ったS先輩は、どんどんスピードを出し始めた。カーブの度に左右に体が振られる。

「S先輩! そろそろ例の急カーブなんじゃないですか? スピードバンプがありますよ!」

「わかってる。そんときはスピード落とすさ!」

 とその時だった。さっきまでハンパなくまぶしかったライトの光が急に消えた。
 えっ、と思って自分が後ろを振り返ると同時に、S先輩も思わず後ろを振り返ってしまった。

 その次の瞬間『ドガン』というものすごい音と一緒に、下から突き上げるような衝撃を受けた。
 まずい! スピードバンプを踏んでしまったようだ。そしてスピードが乗っていたせいで車が跳ねてしまい、コントロールが思うように効かない。

「せ、先輩!!!」

「ちっ!!!」

 S先輩はフルブレーキングをし、何個目かのスピードバンプを超えた後に、かろうじてガードレール手前で止まることができた。

「クソ野郎、ぶっ殺す!」と言って、すぐさまS先輩が車の外に飛び出していったのだが、後ろにさっきのインプレッサはいなかった。

「なんでいねーんだよ! さっきまであんなにぴったりくっついて走ってただろうが!」

 この峠道は道幅が狭く、とても車がUターン出来るような幅ではない。かと言ってバックしてずっと戻っていったというのも考えられない。
 というのも、少なくともここから後ろ1キロ以上はずっと道が見通せる状態だったので、もしバックしていったのだとしたら絶対にわかるからだ。
 とにかく見た目には忽然と姿を消した、としか思えなかった。

「S先輩、とにかく今日はもう帰りましょう。心臓に悪すぎます」

「くそー。この怒り全然収まらねーぞ。今度会ったら、絶対ぶっ殺す」

「いやいや、さっきまでお札も反応していたじゃないですか。そのお札だって、ほら今は青いし、やっぱりさっきのはやばい霊だったんですよ。もう忘れましょう」

「ちっ、今度こそ会ったら見とけよ。ぜってー許さねーからな」




「しかしさっきはやばかったですね。いつもあのパターンで事故を誘発していたのかもしれませんね」

「んー、そうかもな。わざと煽って相手の頭に血を上らせて、スピードバンプの手前で急に消える。その消えるってのがよくわかんねーけど、それがやっぱり本物の霊の仕業だったのかもな。そんでもってあんなことやられたんじゃ確かに事故起こすってのも、うなずけるわ」

「ところでS先輩もこれで懲りたんじゃないですか? いい加減オカルトスポットめぐりやめましょうよ」

「いや、やめねーな。小林旭も言ってるじゃねーか。『オカルトスポットがオレを呼んでいる』ってな」

 この人、どんだけおっさんなんですか? しかもあれ『オカルトスポット』じゃなく『嵐』だろ?
 って、そういうのを知ってる自分も十分おっさんなわけだが……orz

 そんなくだらないやりとりをしていると、また後ろからぴったり煽ってきた車がいた。さすがに今度はさっきの車とは違うようだ。ライトの明かりでよくわからなかったが、普通のセダンのように見えた。

「おいおい、こっちはさっきの事故る寸前までいった精神的ダメージがまだ残ってるっつーのによ。ちょうどいいや。さっきの怒りもまだ収まってねーし、簡単にぶっちぎってやるぜ」

「いや、S先輩やめましょうよ。せっかくさっきは事故らなくて済んだのに、今度こそ事故起こしますよ」

「う る さ い! こっちはさっきの不満がたまりまくって爆発しそうなんだよ。だまってどっかにしがみついておとなしくしてろ」

 と言って、S先輩がアクセルを踏み込んで、あっさり後ろの車を引き離したであろう、と思った瞬間だった。
 後ろから急に聞き覚えのある音が聞こえてきた。
 そしてその音とは、誰しもが一番聞きたくない音。
 紛れもなくパトカーのサイレンだった。

 すぐさま路肩に車を止めるよう指示され、憐れS先輩は35キロのスピードオーバーで赤切符を切られてしまった……。


 ○○峠の走り屋(後編)に続きます。

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