戦時中の化学兵器実験施設(前編)
【オカルト】【カミカゼエース先輩シリーズ】「戦時中の化学兵器実験施設」編
前回の○○沼でのオカルト話から程なくして、またS先輩からお誘いが来た。
「戦時中に化学兵器の実験に使われていた施設があるらしいんだが、今度はそこに行ってみるべ」
「えっ、またですか? いい加減勘弁してくださいよ」
「そんなこと言わずにまず聞けって。その施設がある場所はその性質上、なるべく人目につかないよう林の中にあってな。戦後は使われることなくずっと放置されていたが故に、今は建物の周りがジャングル状態で誰も近づくことができないらしい。オレにはそこがいかにもオカルトっぽい臭いがプンプンするんだよ。なんてったって化学兵器の実験施設だからな。しかも今度はKも一緒だし、なんかあっても大丈夫だって」
「いやいや、いくらそんな力説されても、この前のことで自分は十分懲りているので、今回は遠慮させていだたきます」
「お、いいのか? おまえKに会ったことないだろ? ちなみにKは独身で小柄のショートボブが似合うメガネっ娘で、おまえの好み的に”どストライク”だと思っていたが、オレの勘違いだったか?」
「ちょ、それ非常にみりょK、いやいや、自分は既婚者だから、独身云々言われても関係ないですけど……。で、でも前言撤回します。S先輩のおっしゃるとおり”ショートボブでメガネっ娘”は正直どストライクなのでぜひ会ってみたいです! つか、会わせてください」
はっ! 個人的好みが露見してしまった。S先輩たら人が悪いです(汗
結局、今回もオカルト話に付き合うことになってしまった。
でも、あくまでもS先輩が強引に誘うから行くんであって、け、決して”ショートボブのメガネっ娘”に惹かれたわけじゃないんだからね//// 勘違いしないでよね!
S先輩から連絡があった直近の土曜の夜に、S先輩の車にKさんも同乗して自宅までやってきた。
Kさんは事前に聞いていたとおり、自分の好み的に非常に”どストライク”だった。とてもやばいです。
でも、自分に会うなりKさんは
「あ、あの、なんか悪意に近いくらいの下心をものすごく感じるんですが……。勘違いされると困るので最初に断っておきますけど、私は霊感が強い方なのである程度相手の考えていることというか、オーラを感じることができるんですね。そして、良い方のオーラならあまり気にならないんですが、悪い方のオーラだと私の感情に悪い影響を与えるせいですごく気分が悪くなるんです。だから、あまりそういう下心は持たないでもらえないでしょうか?」
と、いきなり完全拒否されました! orz
確かに”どストライク”ではあったけど、それを『悪意』とまで言われるとは、予想外の展開にちょっとへこんだ。
「すみません。そんな下心はなかった*1んですが、以後気をつけます」
「あ、いえ、気を悪くされたのであればこちらも謝ります。確かに初対面でいきなりこんなこと言われたら気分を害されますよね。これ私の悪い癖なんです。すみませんでした。自己紹介が遅くなりましたがKと申します。今日はよろしくお願いします」
「こちらこそ、よろしくお願いします。それで自分はS先輩の1コ下の後輩で中学、大学と一緒でした。それでS先輩にはいつも迷惑をかけさせられ……」
自分がそこまで言いかけた時、S先輩から蹴りを一発食らった。
「なんか余計な一言が聞こえたようだが、オレの聞き間違いだよな?」
「い、痛い……。何でもないです。はいっ! S先輩にはいつもお世話になってますっ! それで大学時代は”とても楽しい”毎日を過ごさせていただきましたっ!」
「ふふふ、Bさん(”Bさん”とは自分)のことはSさんからいろいろ聞いてます。Bさんのお気持ちはお察しします」
「でも、Kさんもこんなことに付き合わされて大変ですね」
「おい、おまえ余計なこと言うなよ。今日はあくまでもKの方から『行きたい』と言ってきたんだからな。オレのせいじゃねーぞ」
「あ、はい。Sさんの無鉄砲なところは私も十分理解してますので心配でついてきたんです。あまりにもまずい状況だった場合は、すぐわかりますので大丈夫だと思います」
「それなら自分としても安心です。それでこの前は散々な目にあってますんで」
「まぁ、お互いの自己紹介はそんなところにして、とっとと現場に行くぞ」
自宅から現場までは車で30分ほど行った所にあった。周りは林があるだけで他には何もないようなところだったため車は適当なところに止め、そこから建物になるべく近いところまで歩いて行った。そしてそこからが問題だった。
S先輩の話で聞いていたとおり、その建物に近づくにはジャングル状態の林を抜けなければならない。どうやってその建物まで行くのかと思っていたら、S先輩が持ってきていたリュックから刃渡り30cmくらいの鉈を取り出した。
「うぉ。S先輩そんなのよく持ってましたね。ま、まさか武器として使って……」
そこで、またS先輩から蹴りを一発くらった。
「何言ってんだボケ。これはオヤジが山に行く時に使っているものを借りてきたんだよ。最初からジャングル状態だと分かっているところに行くんだから、このくらい用意しとくのは普通だろ? しかも何かあれば本当に武器として使えるしな」
いやいや、それ立派に殺人行為になりかねないですから、絶対にそんなことに使わないでください。
「おいB、このLEDライトで先照らせ。オレが蔓とか邪魔なもの切るから」
「はい。こんな感じでいいです?」
「よっしゃ。オヤジに連れられて山に行った時は、これよりもっとひどいところを進んだこともあったからな。この程度なら朝飯前だぜ」
S先輩は本当に手馴れた手付きで鉈を振るいどんどん道を作っていった。そしてあっさりと目的の建物にたどり着くことができた。
しかし、いざその建物を目の前にすると、周りが暗いこともあって異様な威圧感を感じた。
化学兵器の実験施設というくらいだから、中はさぞかしすごい状態なのではないだろうか?
戦時中の化学兵器実験施設(中編1)に続きます。
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*1:すみません。思いっきり嘘です